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乳がんの記録

「恵のとき 病気になったら」

詩: 晴佐久昌英氏

  「恵のとき 病気になったら」より



病気になったら

病気になったら どんどん泣こう


痛くて眠れないと言って泣き

手術が怖いと言って涙ぐみ

死にたくないよと言ってめそめそしよう


恥も外聞もいらない

いつもの痩せ我慢や見栄っ張りを捨て

かっこ悪く涙をこぼそう


またとないチャンスをもらったのだ

自分の弱さをそのまま受け入れるチャンスを


病気になったら 思いきり甘えよう

あれが食べたいと言い

こうしてほしいと頼み

もう少しそばにいてとお願いしよう


遠慮も気づかいもいらない

正直に わがままに自分をさらけ出し

赤ん坊のようにみんなに甘えよう


またとないチャンスをもらったのだ

思いやりとまごころに触れるチャンスを


病気になったら心ゆくまで感動しよう

食べられる事がどれほどありがたいか

歩ける事がどんなに素晴らしい事か

新しい朝を迎えるのがいかに尊い事か


忘れていた感謝の心を取り戻し

この瞬間自分が存在している神秘

見過ごしていた当たり前の事に感動しよう

またとないチャンスをもらったのだ

命の不思議を味わうチャンスを


病気になったらすてきな友達を作ろう

同じ病を背負った仲間

日夜看病してくれる人

すぐに駆けつけてくれる友人達


義理の言葉も儀礼の品もいらない

黙って手を握るだけで全てを分かち合える温かい友達を作ろう


またとないチャンスをもらったのだ

試練がみんなを結ぶチャンスを


そしていつか病気が治っても治らなくてなくも

みんなみんな 流した涙の数だけ優しくなり

甘えとわがままを受け入れて自由になり


感動と感謝によって大きくなり

友達に囲まれて豊かになる

 

病気になったらまたとないチャンス到来

病の時は恵の時

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